ついに最終日。イタリア最大の商業都市ミラノを訪問。この日は日曜日。カトリック教国は一切の仕事をしない。イタリアも例外ではなく・・・。

第6日目:ミラノ・最終日
 最終日は、ミラノ。ファッションと経済の中心地。ガイドの方のお話では、国内で最も勤勉な街らしいです。

ところで昨年、ミラノの駅前の高層ビルにセスナ機が突っ込んだ事件がありましたね。テロか!?と騒がれたアレ。
じつはバス移動の時にあのビルの前を通ったんですけど、まだ穴があいていました。ビルに穴ですよ、穴。下手すりゃ倒壊です。

 さてここでは、非常にジャパニーズ・チョンマゲライクなヘアスタイルをしたガイドさんが案内してくれた。
もう、僕らの目は彼女の頭に釘付け。あの人、頭に受話器乗っけてるわ、とか、ステゴザウルスの背中みたいだわとか、リンガーハットであんなパンを売ってたわ、美味しいよねとか散々な事を嫁と二人で議論していた。
この方、見かけ通りベテランの人みたいで、とても話が面白く、おかげで僕達は、リラックスしてこの最後の観光地を過ごすことができました。

 ミラノでは、ベローナとミラノのドゥオモ、アーケードを見て回った。
ベローナとは、昔のイタリアのお城です。
お城といっても、よくある王侯貴族の自己顕示、というのではなく、行政府のための機能的な建造物といった趣きで、さすが都市国家!そんな感じでした。

城壁で敷地をマス目に仕切っていて、城壁の内側は中庭になっています。
ここで、ミラノ市の古い紋章が、じつはアルファロメオのシンボルと一致する事に気付いた!
ガイドさんによると、ミラノ市の紋章を左右に鏡面反転して出来たのがアルファロメオのマークだという。こうすると、前の車のバックミラーには正しいミラノ市の紋章が映るという仕掛けだ。なーるほど!

 

 

 ベローナの中には、ミケランジェロが最後に作ったピエタが展示してあった。
死ぬ四日前まで彫り続けていたといわれている、未完成のピエタ(嘆きのマリア像)だ。
これは、今まで見てきたピエタと違い、イエスの顔がミケランジェロ自身に似せてあったり、教会の規制に反する表現があったりと非常に個性的、冒険的で、おそらく彼が自分自身のために作っていたものではないかと言われている。
非常に個性的ーーそうとしか表現が出来ない。今風に言うなら、プロの作家がクライアントの意向等を一切気にせずに、自分の趣向のみで作品を作った、まさにそんなピエタだ。

このピエタ、向かって右側から鑑賞すると、イエスの遺体を抱きかかえるマリア像が彫られているように見える。地面に崩れ落ちようとする息子の遺体を、背中から抱きかかえ、支えている哀れなマリア。
しかし、左側に回り込んで鑑賞してみると、もうひとつの作品世界が現れる。
マリアを背中に抱え、天へ昇るイエスの姿が出現するのだ。
悲劇とその後の愛を同時に表現するこのピエタの、ひいてはミケランジェロの奥深さを目にし、その天賦の才、創作者としての精神に思いっきり打たれた。

 

 場所をアーケードに移す。
イタリア王国初代王・ビクトール=エマニュエール二世を記念して作られた、ン百年前から続く、巨大なアーケードだ(詳細は忘れた)。
しかし、今日は日曜日。厳密に休暇を取るイタリア人です。お店が、マクドナルドと数件のカフェテリア、土産物屋しか開いていません。ええと、ブランド街でショッピングでも楽しもうかという目論見は、楽勝で崩れ去りました。

ちなみに、ミラノでの日本人の印象はあんまり良くないらしいです。
10代、20代の若い連中が大挙して来て、自分らが買えないブランド物を大量に買い漁っていく、いわゆるブランドツアーですね。これが気に入らないらしい。
ミラノの人達の一般的な月収は、だいたい16、7万円。ブランドショップの店長クラスでも手取りが20万円行かないくらい安いらしい。で、共稼ぎ・サービス残業は当たり前。物価は日本と同じくらい。
自分で売っているものが、高くて自分では買う事が出来ない。やっぱり、納得行かないだろうな。・・・

  さて、集合時間まであと30分。ツアー客は時間がない。最後のイタリア観光とばかりに僕と嫁さんはドゥオモ(大聖堂)に入った。

 

 

 

 ミラノのドゥオモは、バチカンの聖ピエトロ寺院、フィレンツェのドゥオモに続き世界で3番目に大きい教会といわれている。ちなみにステンドグラスの大きさは、世界最大らしい。

 教会入り口で荷物チェックを受け、嫁さんと二人で中に入れてもらった。
日曜日だったので、ミサの最中。デジカメの超望遠で、壇上に立つ紫の法衣を着たお坊さんを見つつ、聖歌隊の合唱で心を浄めてきました。

 

 

 

 

 

 

 キリスト教国の旅の締めくくりがミサの参加となり、何となくけじめがついたようなついていないような。
僕らは最後の宿泊を済ませ、荷物をまとめ、イタリアに別れを告げた。

 帰国コースは、来る時と全く同じコースを逆にたどる。ミュンヘンを中継し、航空会社も同じルフトハンザだ。
唯一にして最大の違いは、ミュンヘンまでは小型プロペラ機だった事だ。
添乗員さんをして、「こんな小型機はめったに乗らない」と言わしめた、悪魔の機体。この、羽が生えたバスでアルプス山脈を越えるって?おいおいチキチキマシン猛レースかい?オレ高所恐怖症なんですけど。

そんな心配はハナから無視され、バスは車体を大きく振るわせ上昇。急旋回で窓から地面が見えた時にはさすがに「おい!運転手はちゃんと見て運転してるのか」と素でぼやいてしまい、嫁の失笑を買う。

 この飛行機、雲より上に上がる推進力がないみたいで、眼下にアルプスの山々を見ながらのフライトが2時間近く続いた。
慣れてくると、景色はいいしジャンボじゃけっして見れなかった風景だし、いい経験だったのかも。
疲れていたのか、ミュンヘンから先、日本までの12時間は眠りっぱなしでした。

 

 

 

 

 

 

まとめ。
 イタリアには、本当に様々な「世界最大」がある。
単にサイズが大きいだけではない、材質、製法、センス、およそ考えうる範囲全てで最高のレベルが要求され、結実している。
イタリアには数多くのマイスターがいる。彼等は先祖が残した至高の作品を常に目にし、先祖譲りのタフで奔放な精神で物造りを続ける。世界の模範であるとはっきり自覚し、実際そのプライドにふさわしい作品を生み出し続けている。だから世界中の人が「イタリア」を目指す。

もちろん、馬鹿もいれば泥棒もいる。それも並外れた奴が。
そのすべてを引っ括めた、イタリアの奥深さを僕と嫁さんは体感してきました。
難しい事はさておいて、とにかく、パスタはうまかった。以上が僕のイタリア旅行記です。
この文章を最愛の嫁さんに捧げつつ、Ciao!

補:ワインもうまかったです。

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